知っておきたい:40歳から始まる高齢期の噛み合わせ問題

前回は、働き盛りの成年期・壮年期の時に噛み合わせの悪さから起こりうる様々な問題をお話し致しました。

今回は、40歳から始まる高齢期の噛み合わせ問題についてご紹介したいと思います。

「たかが噛み合わせ」と思われるかもしれませんが、実は認知症や腰痛、骨折とも関係してきますので、是非知っておいていただければ幸いです。

さて、そもそも何が「40歳から始まる」のかと申しますと、噛み合わせが正常でない場合、この頃から歯周病で実際に歯を失っていくことになるケースが多いのです。

歯を支えている歯肉の中の骨「歯槽骨」は、外からは見えませんが、歯周病によって徐々に小さくなっていきます。

歯の根っこを支える土台である歯槽骨がなくなっていくから、少しずつ歯がグラグラになり、やがて普通の食事を思い通りに噛むことができなくなってしまうのです。

「1本や2本は仕方ない」

こう思われる方もあるかもしれません。

ところがここで大事になってくるのが、1本の歯が抜けたのを放っておくことで、負の循環が始まってしまうことです。

負の循環とは、まず1本の歯が抜けると、それまでその歯が支えていた負荷を隣の歯が1本で支えなければなりません。

さらにそれだけでなく、たとえば右の奥歯を失った場合、良く噛めなくなった右の分まで左で噛もうとして、左の奥歯に右側の負荷まで押し寄せてきます。

その結果、次はその負荷を受けた歯がグラグラになったり、あるいは全体のバランスが崩れたことで、他の部分の歯の位置が移動して歯並びが悪くなったりするのです。

すると、また「不正咬合」が進んでしまい、歯周病が進行する他、お口以外のところに次のような影響が出てくることがございます。

  • 首や肩の凝り、腰痛につながる。
  • 誤嚥性肺炎を引き起こす。
  • うつ病、認知症になりやすくなる。
  • 運動機能が低下する。

なぜ、うつ病や認知症、運動機能の低下にまでつながるのでしょう。
これは、逆に噛み合わせが良い場合を考えてみると分かります。

正常な噛み合わせでよく噛める状態の方は、顎の骨や筋肉もよく動かされ、血液の循環もよくなります。
そして脳細胞の働きが活発になり、運動機能、生理機能は向上し、結果的に認知症やうつにもなりにくくなる、といった具合です。

あとは、ご高齢の方に多い転倒骨折も、正しい噛み合わせの恩恵を受けているかどうかで、起こる確率を下げることができることも見逃せないポイントだと思われます。

ちょっとしたことで転びそうになった時、歯を食い縛れる方であれば、転倒せずに済むことも多くあるからです。

ご高齢の方の中には、あまり骨が丈夫でない方もいらっしゃいます。
転倒によって骨折し、場所によってはそこから寝たきりになってしまうケースを耳にしますと、非常に悲しい想いになります。

咬合に詳しい歯科医のところで、年に数回でも簡単なメンテナンスを受けていただくだけで、そのようなことを防げる確率は高まります。

問題が起きる前に、かかりつけの歯科医を持ち、なんでも相談できるようにしておくことをおすすめ致します。

今回の内容でまだ大切なことが残っていますので、続きを次回にお話しさせていただきたいと思います。

○本日もご一読、ありがとうございました。

歯に関して大事なことを知っていただくことで、「歯が痛い」「思うように食事ができない」「口元が気になって笑顔になれない」といった悩み、苦痛をなくしていきたいと思っております。


あなたのお口の設計士:長谷川浩之
千代田区丸の内にある2つの歯科医院にてドクター兼理事長を務めさせて頂いております。
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