同じ歯科医として悲しいこと:1日8本の抜歯

本日の内容は、今までになかったテーマです。
が、どうしてもこのブログでお話ししたいと思い、新しくこのテーマを追加させていただきます。
「同じ歯科医として悲しいこと」
まず今回は、ある歯科医院で1日に歯を8本抜かれた患者様のエピソードです。

・・・

その女性は数年間、ご主人様の看病に毎日の時間を費やしていました。
やがてご主人は亡くなられてしまい、1~2年が過ぎました。

「今度は、自分の健康を大事にしよう」

そう思った奥さまは、ご自身の体を気遣うようになりました。
歯のことも気になり、ある歯科医院に行った時のことです。

「歯周病ですね。上下の奥歯、2本ずつ上下左右で8本とも、抜かなければなりません」

ショックを受けた奥様でしたが、このままでは毎日の食事も安心して行うことができません。抜歯のあと、仮の入れ歯を入れ、最終的にはインプラントを入れる、という説明に、一応納得して治療が始まりました。

治療の最初は、まず下の奥歯、左右合わせて4本を抜くところからでした。

一度に4本もの歯を抜く不安を抱えながら、予約をし、抜歯する当日を迎えました。
するとその奥さまは、突然、こんなことを言われたのです。
「もしよろしければ、上の歯も本日抜いてしまいませんか?」
先生からいきなりこのようにコンサルテーションされたのでした。

その日に4本抜くだけでも大変な日になると思っていた奥様に、8本一度に抜きませんかという、信じられない提案が下されたのです。

当然その奥さまは、そのことをすぐには受け入れられません。

しかし、「(先生も、きっとお忙しいのでしょう…)」とご配慮された奥さまは、本当はお断りしたかったのですが、遂にその提案を受けることとなったのです。
1日に8本の歯を抜かれたその奥さまは、その後、丸2~3日の間、熱を出して寝込んでしまわれました。

そして1週間後、歯を抜いたところから糸を取ってもらいにその歯医者へ行った時、熱で寝込んでしまったことを、先生にお話ししたそうなのですね。

次の瞬間、奥様は耳を疑うようなことをその先生から言われたのです。

「当たり前ですよ。歯を1日に8本も抜いたんですから、当然です」

「(どうして、やっとのことで乗り越えた苦痛を打ち明けた先生から、
このような無慈悲なものの言い方をされなければならないの?)」

そしてその奥様は、歯科医療自体に不信を抱き、ショックでもう一切、どこの歯医者にも行けなくなってしまったのです。

・・・

同じ歯科医として、本当に悲しいことであります。

ちなみになぜ私が、このお話を直接その奥様からお聞きできたかと言いますと、その奥様のお嬢様が、お母さんのことを心配され、信用できる歯科医をインターネットで探しまわられたそうです。

そして、私のサイトを見て奥様(お母さん)にすすめて下さったそうなのですね。

その歯医者の名前は伏せさせていただきますが、世間では名の通った大手の病院です。
どうもその病院は、奥様のレントゲンをとっただけで、歯周病検査などはなしだったそうです。
本当に、8本全部を抜く必要はあったのでしょうか。

今では、その奥様とじっくりお話しして、当院で治療計画を立てていくことになりました。

本日のお話は以上とさせていただきます。これからも、多くの方にとって必要な情報を連載させていただきます。


あなたのお口の設計士:長谷川浩之
千代田区丸の内にある2つの歯科医院にてドクター兼理事長を務めさせて頂いております。
お悩み・ご相談・ご質問等がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。


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